特定技能の採用ガイド【企業向け2026年版】
受入れ要件・手続き・費用を総解説

公開日:2026年6月12日 | 出典:出入国在留管理庁・厚生労働省

1. 特定技能とはどんな在留資格か

特定技能は、国内で人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるために2019年4月に創設された在留資格です。出入国在留管理庁が管轄し、法務省令で定められた特定産業分野に限り就労が認められます。

特定技能には1号2号の2種類があります。1号は在留期間の通算上限が5年で、家族帯同は原則不可です。2号は更新に上限がなく、家族帯同が可能な点が大きく異なります。2号は高度な技能が要件となり、介護分野は2号が設けられていません(介護福祉士ルートへ移行)。

1号の在留資格を取得するには、対象分野の技能試験日本語試験(N4相当)の両方に合格する必要があります。ただし、技能実習2号を良好に修了した方は、対応する分野への移行であれば両試験が免除されます。これが「技能実習からの移行」が企業にとってコストを抑えやすい採用経路となる理由です。

2. 対象分野(現在16分野・新3分野は2027年頃開始見込み)

2024年の制度改正により、対象分野が12から16分野に拡大されました。さらに2026年1月23日の閣議決定でリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野の追加が決定し計19分野となりましたが、新3分野の受入れ開始は2027年頃の見込み(整備中)です。自社の業務が現在受入れ可能な16分野に該当するか確認しましょう。

介護
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
自動車運送業
鉄道
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
林業
木材産業

自動車運送業・鉄道・林業・木材産業は2024年に新たに追加された分野です。これらの分野では制度の運用要件が整備中の部分もあるため、出入国在留管理庁の最新情報を必ず確認してください。

各分野には所管省庁が設置する分野別協議会があり、企業は受入れに際して協議会への加入が義務づけられています。建設分野の場合はJAC(建設技能人材機構)への加入と受入負担金の支払いが必要で、他分野より初期費用が多くかかります。

3. 企業(受入れ機関)の要件

特定技能外国人を受け入れる企業(受入れ機関)には、以下の主要な要件が求められます。いずれかを欠く場合は受入れができません。

法令遵守・欠格事由

過去5年以内に出入国・労働関係法令に違反していないこと、また労働保険・社会保険に適切に加入していることが必要です。外国人労働者に対する不当な取り扱い(給与未払い、パスポートの取り上げ等)があった事業者は受入れができません。

報酬の同等以上要件

特定技能外国人の報酬額は、同等の業務に従事する日本人と同等額以上でなければなりません。これはすべての経路・分野で共通の要件です。最低賃金の遵守はもちろん、賃金の実態として差別的に低い水準を設定することは許されません。

義務的支援体制

1号特定技能外国人には、受入れ機関が所定の義務的支援(事前ガイダンス・空港への送迎・住居確保の支援・生活オリエンテーション・公的手続き同行・日本語学習機会の提供・相談・苦情対応・定期面談・行政への届出等)を提供しなければなりません。自社で全支援要件を満たせる場合はそのまま実施できますが、登録支援機関に委託することも可能です。

分野別協議会への加入

初めて特定技能外国人を受け入れる際には、対象分野の分野別協議会に加入する必要があります。加入は受入れ後4か月以内が原則ですが、建設など一部分野では受入れ前の手続きが必要です。

採用経路(海外新規・国内在留・技能実習移行)別に費用がどれくらい変わるか確認してみましょう。

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4. 登録支援機関とは

登録支援機関とは、受入れ機関に代わって1号特定技能外国人への義務的支援を実施する、出入国在留管理庁に登録された機関です。行政書士事務所、人材会社、NPO法人など多様な事業者が登録しています。

主な委託業務は以下のとおりです。

費用の相場は月額2〜3万円/人(年間24〜36万円)です。初めて外国人を受け入れる企業や、社内に支援体制を整えることが難しい中小企業には委託が現実的な選択肢です。

5. 採用手続きの概要

特定技能外国人の採用は、大きく7つのステップで進みます。国内在留者の在留資格変更なら1〜2か月、海外からの新規採用なら2〜4か月が目安です。

  1. 分野・自社業務の該当性確認自社の業務が特定技能の対象分野に該当するか確認します。分野ごとに対象業務が細かく定められているため、所管省庁のガイドラインを参照しましょう。
  2. 人材の確保技能試験合格者のマッチング・技能実習2号修了者の自社移行・国内在留者の採用・海外からの送り出しなど、複数の経路があります。
  3. 特定技能雇用契約の締結報酬(日本人と同等以上)・業務内容・労働時間等を明記した雇用契約を締結します。
  4. 1号特定技能外国人支援計画の策定義務的支援の内容を具体化した支援計画を作成します。登録支援機関に委託する場合は委託契約を結びます。
  5. 在留資格の申請国内在留者は在留資格変更許可申請、海外からの新規は在留資格認定証明書交付申請→査証取得→入国の流れです。申請先は出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)。
  6. 就労開始・義務的支援の実施入国・就労開始後、支援計画に基づいた義務的支援を実施します。
  7. 出入国在留管理庁への定期届出四半期ごとの定期報告(受入れ状況・支援実施状況等)と、退職・住所変更等が生じた際の随時届出が義務です。

詳細な手続きの流れは「特定技能の採用手続きの流れ【企業向け2026年版】」をご覧ください。

6. 採用費用の目安

採用経路によって初年度費用は大きく異なります。あくまでも目安ですが、以下を参考にしてください。

2年目以降のランニングコストは、登録支援機関への委託費(月2〜3万円/人)と在留資格の更新費用(1〜2年ごと・3〜8万円/人)が主な項目です。

費用の詳細な内訳については「特定技能の採用費用はいくら?経路別に徹底解説」をご覧ください。

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7. 技能実習からの移行

自社で技能実習生を受け入れている場合、技能実習2号を良好に修了した実習生は、対応する特定技能分野に試験免除で移行できます。これがコストを抑えやすい経路です。紹介手数料や渡航費が発生せず、実習中から業務を熟知した人材をそのまま継続雇用できるメリットがあります。

ただし、2027年を目途に技能実習制度が「育成就労制度」へ移行する法改正が予定されています。新制度では外国人が3年の育成就労を修了後に特定技能1号へ移行するルートが維持される見込みですが、制度の詳細は順次発表される政府情報を確認してください。

詳細は「技能実習から特定技能への移行ガイド」をご覧ください。

8. よくある質問

特定技能1号と2号の違いは何ですか?
特定技能1号は通算5年の在留上限があり家族帯同は原則不可です。2号は在留更新に上限がなく家族帯同が可能で、熟練した技能が求められます。なお介護分野は特定技能2号が設けられておらず、長期就労には介護福祉士資格の取得が必要です。
企業が特定技能外国人を受け入れるために必要な要件は何ですか?
主な要件は、①労働関係法令の遵守と欠格事由がないこと、②1号特定技能外国人支援計画の策定(または登録支援機関への委託)、③報酬が日本人と同等以上であること、④分野別協議会への加入(建設はJAC加入と負担金が必要)などです。
登録支援機関への委託は必須ですか?
1号特定技能外国人への義務的支援は受入れ機関の義務ですが、登録支援機関に委託することも可能です。委託する場合の費用は一般的に月2〜3万円/人です。自社で全支援要件を満たせる場合は委託不要ですが、実務上は委託するケースが多数です。
技能実習生がいない会社でも特定技能外国人を採用できますか?
はい、採用できます。技能実習制度を利用していない企業でも、海外からの新規採用や国内在留の技能試験合格者を採用することが可能です。技能実習経験がない場合は試験合格が必要です。
本記事は一般的情報であり個別の法的助言ではありません。最新の制度は出入国在留管理庁の公表情報をご確認ください。出典:出入国在留管理庁・厚生労働省。