登録支援機関とは、特定技能1号外国人を受け入れた企業(受入れ機関)に代わって、法律が定める義務的支援を実施する機関です。出入国在留管理庁(入管庁)に登録・審査された事業者のみが登録支援機関として活動できます。2026年時点で全国に約9,000機関が登録されており、行政書士事務所・人材会社・NPO法人・農業協同組合など多様な事業者が参入しています。
特定技能1号の在留資格を持つ外国人を受け入れる場合、受入れ機関は本人に対して義務的支援を行う義務を負います。自社でその支援体制を構築することも可能ですが、要件を満たせない場合や実務負担を軽減したい場合は、登録支援機関に支援業務を委託することができます。委託した場合、受入れ機関は支援義務を果たしたことと同等に扱われます。
特定技能1号外国人に対して実施しなければならない義務的支援は、法令で以下の10項目が定められています。登録支援機関に委託する場合は、これらの全項目を委託することが義務とされています(一部のみの委託は不可)。
ポイント:登録支援機関への委託は「全項目委託」が原則です。一部の支援だけを委託し、残りを自社で行うという分割は認められません。ただし、自社で全支援を行ったうえで一部の業務支援を別の機関から受けることは別途可能です。
登録支援機関への委託費用の相場は月額2〜3万円/人(年間24〜36万円)です。支援委託費は特定技能外国人1名につき毎月発生するランニングコストであり、採用初年度から計上する必要があります。
| 費用項目 | 目安額 | 備考 |
|---|---|---|
| 月額支援委託費 | 2〜3万円/人・月 | 全10項目フルサポートが基本 |
| 年間合計(1名) | 24〜36万円 | 在留期間中ずっと発生 |
| 初期設定費・登録料 | 0〜5万円程度 | 機関によって異なる |
| 住居確保サポート(別途) | 2〜10万円(都度) | 月額に含まれる機関もあり |
複数名を同時に受け入れる場合は、1人あたりの月額が若干下がる「ボリュームディスカウント」を設けている機関もあります。長期契約(1年以上)で優遇される場合もあるため、見積もり取得時に確認してください。
なお、登録支援機関への委託費は受入れ機関が全額負担するものです。特定技能外国人の給与から天引きしたり、本人に負担させたりすることは禁止されています。
受入れ機関は登録支援機関に委託せず、自社で義務的支援を実施することも可能です。ただし自社支援を行うには、以下の要件を満たす必要があります。
義務的支援の具体的な内容や支援計画の策定手順については、特定技能の採用手続きの流れ【企業向け2026年版】で詳しく解説しています。
| 比較項目 | 自社支援 | 登録支援機関に委託 |
|---|---|---|
| 費用 | 直接費用は不要(人件費・通訳費等は発生) | 月2〜3万円/人(年24〜36万円) |
| 多言語対応 | 自社で確保が必要(難易度高) | 機関が母国語対応 |
| 届出・書類業務 | 自社で対応(行政書士等に依頼も可) | 機関が代行 |
| 実績要件 | 過去2年の在留外国人管理実績等が必要 | 不要 |
| 適合ケース | 大企業・外国人採用実績が豊富な企業 | 初めての受入れ・中小企業 |
実態として、中小企業の多くは社内に多言語対応できる担当者を確保することが難しく、定期面談・届出の実務負担も大きいため、登録支援機関に委託するケースが圧倒的多数です。逆に外国人採用の実績が豊富な大企業では、自社内に支援担当者を配置して委託費を節約するケースもあります。
全国に約9,000機関ある登録支援機関の中から自社に合った機関を選ぶには、以下の6点を確認することをお勧めします。
登録支援機関によって得意とする分野が異なります。農業・介護・製造など、自社が採用しようとしている分野での受入れ支援実績が豊富かを確認してください。実績のない分野では、支援の質にばらつきが生じる可能性があります。
採用予定の外国人の国籍・母国語に対応できるか確認が必要です。ベトナム語・インドネシア語・フィリピン語(タガログ語)・ミャンマー語など、主要な送り出し国の言語に母国語レベルで対応できるかが、支援の実効性を左右します。
外国人本人から緊急の相談が入った際の対応時間・対応可能な曜日・時間帯を確認してください。深夜・休日対応が可能かどうかは、緊急時の安心感に直結します。
義務的支援10項目をこなすだけでなく、外国人が職場に定着して長く働けるよう、きめ細かいサポートを行っているかを確認してください。定着率の高い機関は、採用後の離職リスクを抑える効果があります。
月額費用に含まれるサービスの範囲を明確に確認してください。住居確保・在留更新代行・行政書士費用などが別途請求になる機関と、月額に含まれる機関では、実際の総コストが変わります。契約前に費用の全貌を把握することが重要です。
入管庁への定期届出・随時届出に不備があると、受入れ機関も連帯して責任を問われる可能性があります。届出業務の経験と正確さ、コンプライアンス体制を確認してください。口コミ・紹介・実績件数なども参考になります。