1. 移行のメリットと費用の安さ
自社で受け入れている技能実習生を特定技能1号へ移行させることは、企業にとってコストパフォーマンスに優れた採用方法のひとつです。主なメリットを整理します。
費用を抑えやすい
紹介手数料・渡航費が不要。初年度コストは約35〜80万円が目安で、海外からの新規採用と比べて費用を抑えやすい。
試験が免除
技能実習2号を良好に修了すれば技能試験・日本語試験の両方が免除される。
即戦力
自社の業務・職場環境をすでに熟知しており、教育コストが低い。
定着率が高い
実習中から人間関係・職場文化に慣れており、離職リスクが低い傾向がある。
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2. 試験免除の条件
技能実習2号の修了者が試験免除で特定技能1号へ移行するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 技能実習2号を良好に修了していること:技能実習計画を修了し、技能検定3級(または技能実習評価試験の専門級)相当以上に合格していること。
- 移行先の特定技能分野が技能実習と対応していること:どの技能実習職種・作業が、どの特定技能分野に対応するかは法務省告示で定められています。対応関係を必ず確認してください。
- 在留資格変更許可申請時に修了の証明書類を提出できること:実習実施者(監理団体経由の場合)から技能実習修了証明書を取得します。
注意:技能実習の分野と特定技能の分野が対応していない場合
例えば、技能実習は農業(野菜栽培)だが特定技能は介護で採用したい場合は、試験免除の対象外です。技能試験・日本語試験を受験する必要があります。対応関係は出入国在留管理庁または所管省庁のガイドラインでご確認ください。特定技能の受入れ可能な分野全体については特定技能の対象分野一覧【16分野+新3分野で計19分野】もあわせてご覧ください。
3. 移行の手順
自社の技能実習生を特定技能1号へ移行する場合の手順は以下のとおりです。
- 技能実習2号の良好な修了確認技能実習計画の修了と技能検定合格を確認します。修了証明書類を監理団体・実習実施者から入手します。
- 特定技能雇用契約の締結実習生との新たな雇用契約を特定技能として締結します。報酬は日本人と同等以上であることを確認します。
- 1号特定技能外国人支援計画の策定義務的支援の内容を盛り込んだ支援計画を作成します。登録支援機関への委託も可能です。
- 在留資格変更許可申請管轄の地方出入国在留管理局に申請します。行政書士に依頼するのが一般的です。主な書類:技能実習修了証明書・雇用契約書・支援計画書・申請書等。
- 許可後の就労開始・支援実施在留資格変更が許可されたら就労開始。支援計画に基づき義務的支援を実施します。
- 四半期ごとの定期届出就労開始後は定期届出(受入れ状況・支援実施状況)が義務です。
在留資格変更の審査期間は一般に1〜2か月です。実習期間の終了日と申請タイミングの調整が重要で、実習修了の2〜3か月前には準備を始めることをお勧めします。
4. 費用の目安
技能実習から特定技能への移行の初年度費用は約35〜80万円が目安です。他の主な採用経路と比べて費用を抑えやすい傾向があります。
| 費用項目 | 目安額(1名) |
| 人材紹介手数料 | 不要 |
| 在留資格変更申請費(行政書士報酬) | 10〜15万円 |
| 渡航費 | 不要 |
| 事前ガイダンス・健康診断等 | 1〜3万円 |
| 住居初期費用(既存住居の場合は不要) | 0〜10万円 |
| 登録支援機関 支援委託費(年額) | 24〜36万円 |
| 合計目安(初年度) | 約35〜80万円 |
住居について、すでに実習中に会社の社宅・寮を利用している場合はそのまま継続できることが多く、住居初期費用がほぼ不要になります。
5. 注意点・確認事項
1. 分野対応関係の確認
技能実習の職種・作業と特定技能の分野・業務の対応関係を事前に確認することが最重要です。対応していない場合は試験が必要になります。出入国在留管理庁の「特定技能ガイドブック」や所管省庁の分野別運用要領で確認できます。
2. 技能実習期間中の法令遵守
受入れ企業が技能実習中に出入国・労働関係法令に違反していた場合、特定技能の受入れ機関として認められない可能性があります。実習期間中の法令遵守が特定技能移行の前提条件です。
3. 本人の意思確認
特定技能は実習と異なり転職が認められています。実習生が必ずしも同じ企業での特定技能移行を希望するとは限りません。本人と十分にコミュニケーションを取り、意思確認を早期に行いましょう。
4. 技能実習修了前の早期着手
申請から許可まで1〜2か月かかるため、技能実習修了の2〜3か月前には申請書類の準備を始めることを強く推奨します。在留期限に余裕がない状態での申請は、万一の不許可・追加書類要求時に就労空白が生じるリスクがあります。
6. 2027年育成就労制度への移行予定
2027年を目途に、技能実習制度は廃止され「育成就労制度」へ移行することが決まっています(2024年6月に関係法が成立)。この制度改正は特定技能移行のルートにも影響します。
- 育成就労制度では、原則3年間の育成就労を修了した者が特定技能1号へ移行することを想定した制度設計になっています。
- 技能実習2号修了者が試験免除で特定技能1号へ移行できるルートは、育成就労制度への移行後も基本的に維持される方向です。
- 育成就労では、1年以上勤務かつ技能・日本語要件を満たした場合に同一分野内での転籍が認められる予定です(現行の技能実習では原則不可)。
制度改正への対応
育成就労制度の詳細な施行ルールは政府が順次公表します。2026〜2027年の施行時期に向けて、出入国在留管理庁・厚生労働省・法務省の最新情報を定期的に確認してください。現在受け入れている技能実習生については、技能実習法・特定技能法の経過措置の内容を確認することが重要です。
7. よくある質問
技能実習2号の修了後、試験なしで特定技能に移行できますか?
はい。技能実習2号を良好に修了した方は、対応する特定技能分野への移行であれば技能試験と日本語試験の両方が免除されます。「良好に修了」とは、技能実習計画を修了し、かつ技能実習の目標である技能検定3級相当以上に合格していることが基本条件です。
技能実習の分野と特定技能の分野が違う場合も移行できますか?
技能実習と特定技能の分野・業務が対応している場合に試験免除で移行できます。対応する分野・業務の組み合わせは法務省告示で定められています。分野が異なる場合(例:技能実習は農業だが特定技能は介護)は試験免除が適用されず、特定技能の技能試験・日本語試験を受験する必要があります。
技能実習から特定技能に移行する際、実習先と異なる会社で働けますか?
はい、可能です。特定技能は技能実習と異なり、特定の企業(受入れ機関)に縛られる制度ではなく、同一分野内での転職が認められています。ただし、外国人が実習先以外の企業へ移行する場合は、新たな受入れ機関が在留資格変更手続きを行う必要があります。
2027年に技能実習が廃止されると聞きましたが、移行への影響は?
2027年を目途に技能実習制度は「育成就労制度」へ移行する法改正が成立しています。育成就労では3年間の育成期間を修了することで特定技能1号への移行が想定されており、人材確保と人材育成の両立を図る制度設計になっています。技能実習2号修了者が試験免除で特定技能へ移行できるルートは維持される方向ですが、制度の詳細は政府が順次公表する情報をご確認ください。
本記事は一般的情報であり個別の法的助言ではありません。最新の制度は
出入国在留管理庁の公表情報をご確認ください。出典:出入国在留管理庁・厚生労働省。育成就労制度は法改正成立済みですが施行規則等の詳細は公表途上です。