外国人を採用するとき、最初の分かれ道が「どの在留資格で受け入れるか」です。代表的な就労系の制度が特定技能・技人国(技術・人文知識・国際業務)・技能実習(2027年目途で育成就労へ移行予定)の3つです。本記事では、対象業務・学歴要件・在留期間・家族帯同・転職可否・費用・支援義務の違いを比較表で総整理し、自社の職種でどれを選ぶべきかを企業向けに整理します。
まず全体像を比較表で確認します。いずれも就労が認められる在留資格ですが、目的・対象業務・要件が大きく異なります。
| 比較項目 | 特定技能 | 技人国 | 技能実習/育成就労 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 人手不足分野の労働力確保 | 専門的・技術的分野の就労 | 技能移転による国際貢献(育成就労は人材確保・育成) |
| 主な対象業務 | 現場の技能職(介護・建設・外食・飲食料品製造など16分野) | ITエンジニア・通訳・翻訳・設計・企画・海外取引など(ホワイトカラー) | 所定の職種・作業での実習(現場業務中心) |
| 学歴・経歴要件 | 原則不要(技能試験+日本語試験に合格、または技能実習2号修了) | 原則として大学・専門学校卒で業務との関連性、または一定の実務経験 | 不要 |
| 在留期間 | 1号は通算5年が上限/2号は更新上限なし | 更新により長期就労が可能 | 技能実習は最長5年(1号〜3号) |
| 家族帯同 | 1号は原則不可/2号は可 | 可(要件を満たす場合) | 不可 |
| 転職 | 同一分野内で可 | 可(業務の該当性が前提) | 原則不可(育成就労では一定要件で本人意向の転籍を認める方向) |
| 支援・監理 | 1号は義務的支援(登録支援機関に委託可) | 支援義務なし | 監理団体による監理 |
| 主な手続き相手 | 登録支援機関・申請取次行政書士など | 申請取次行政書士など | 監理団体・送り出し機関 |
※上表は制度の一般的な比較であり、要件の詳細・例外は分野や個別事情により異なります。最新の要件は出入国在留管理庁の公表情報をご確認ください。
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野で一定の技能を持つ外国人を受け入れるために2019年に創設された在留資格です。対象は現在16分野(2026年1月の閣議決定で3分野の追加が決定し計19分野/新3分野は2027年頃開始見込み)で、介護・建設・外食・飲食料品製造などの現場業務が中心です。
学歴は問われず、対象分野の技能試験と日本語試験(N4相当)に合格すれば在留資格を取得できます。技能実習2号を良好に修了した人は、対応する分野へ試験免除で移行できます。1号は通算5年が上限で家族帯同は原則不可、2号は更新上限がなく家族帯同も可能です。
特定技能の制度・採用手続きの全体像は「特定技能の採用ガイド【企業向け】」で総解説しています。対象分野の詳細は「特定技能の対象16分野とは」をご覧ください。
技人国は「技術・人文知識・国際業務」の略で、ITエンジニア・システム設計・通訳翻訳・海外取引・マーケティング・企画などの専門的・技術的業務(ホワイトカラー)を対象とする在留資格です。原則として、大学・専門学校で学んだ内容と業務に関連性があること(または一定の実務経験)が求められます。
特定技能との最大の違いは対象業務です。技人国は原則として単純作業・現場作業には従事できません。逆に、特定技能では事務・専門職としての採用はできません。同じ「外国人採用」でも、職種によって使う在留資格が分かれます。
技人国でのITエンジニア・専門職採用については「技人国(技術・人文知識・国際業務)の採用ガイド|ITエンジニア等の外国人採用」で詳しく解説しています。
技能実習は、日本で培われた技能・技術を母国へ移転する国際貢献を目的とする制度です。監理団体を通じた受入れが基本で、原則として転職はできません。最長5年(1号〜3号)の在留が可能です。
技能実習と特定技能は混同されがちですが、目的・転職可否・在留期間などが異なります。両者の詳しい違いは「技能実習と特定技能の違い【比較表でわかる】」で整理しています。
育成就労制度への移行:技能実習制度は、2027年を目途に「育成就労制度」へ移行する法改正が予定されています。育成就労は人材確保と人材育成を目的とし、原則3年の就労を経て特定技能1号へ移行するルートが想定されています。制度の詳細は順次公表される政府情報をご確認ください。
自社で技能実習生を受け入れている場合、技能実習2号の良好な修了者は特定技能へ低コストで移行できます。手順は「技能実習から特定技能への移行ガイド」をご覧ください。
「現場の人手不足を補いたい」「専門職を採りたい」など、自社の状況に合う採用方法を、対応できる人材会社・登録支援機関がご案内します。
無料で相談・紹介を受ける →どの在留資格が適切かは、採用したい職種・業務内容でほぼ決まります。自社の状況に近いものを確認してください。
人手不足分野の現場業務なら特定技能が中心の選択肢です。すでに自社に技能実習生がいるなら、試験免除で移行できる「技能実習からの移行」が費用を抑えやすい経路です。→ 特定技能の採用ガイド
大学・専門学校で学んだ分野と関連する専門的・技術的業務なら技人国が該当します。現場作業は原則対象外です。→ 技人国の採用ガイド
技能移転・育成を前提とした受入れなら技能実習(今後は育成就労)が選択肢です。将来的に特定技能へ移行させる前提で設計するケースも増えています。→ 技能実習と特定技能の違い
「現場と専門職の両方を採りたい」「どちらに当たるか判断が難しい」といったケースもあります。業務内容の切り分けは在留資格の可否に直結するため、判断に迷う場合は申請取次を行う行政書士など専門家への確認をお勧めします。
採用にかかる費用・期間も在留資格によって異なります。特定技能は採用経路(海外新規・国内在留・技能実習移行)により1名あたり約35〜200万円が目安で、1号では登録支援機関への委託費(月2〜3万円/人)が継続して発生します。技人国は支援義務がないため支援委託費はかかりませんが、要件確認・申請の手続きが必要です。技能実習は監理団体への監理費等が継続的に発生します。
特定技能の費用の詳しい内訳は「特定技能の採用費用はいくら?経路別に徹底解説」、登録支援機関への委託費は「登録支援機関の費用相場と選び方」で解説しています。
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